AND OR 
WHAT'S NEW
..more

最近の記事

カテゴリツリー
記事リスト
  • 平成21年度(2009年度)
  • 平成20年度(2008年度)
  • 地域と歩んだ銘柄地鶏生産量NO.1への道のり −オンダン農業協同組合−
  • 平成19年度(2007年度)
  • 平成18年度(2006年度)
  • 畜産大賞事例情報 > 徳島県 > 地域と歩んだ銘柄地鶏生産量NO.1への道のり −オンダン農業協同組合−

    地域と歩んだ銘柄地鶏生産量NO.1への道のり −オンダン農業協同組合−

    http://group.lin.gr.jp/grand_prix/con/

    畜産大賞事例情報

    1 地域の概況
     オンダン農協のある海陽町は徳島県の最南端に位置し、南東の海岸線は太平洋を臨み、北は那賀町、東は海部郡牟岐町に、西は高知県と隣接しています。
     北部・西部にあたる山地は1,000メートルにおよぶ緑豊かな山々がそびえています。これらの山々を水源として、地域の中央には北から南に海部川が、南部では西から東に宍喰川が太平洋に流れ込んでいます。
     海部川下流の右岸流域沿いに細長く開けた平野部は、海部川の沖積作用によって形成され、その広さは郡内一を誇っています。
     青く美しい海岸は室戸阿南海岸国定公園に指定され、海岸は数々の岬や入り江を有する美しいリアス式海岸となっています。
     黒潮がもたらす温暖な気候を利用して、施設を利用した促成キュウリ、菊、バラの栽培を中心とした農業は、魚種の水揚げが豊富な漁業と併せて基幹産業となっています。
     畜産は採卵鶏2戸、ブロイラー3戸、肉用牛1戸となっています。

    2 地域畜産振興活動の内容
    (1)地域畜産振興につながる活動・取り組みの具体的な内容

     1)オンダン農協の概要紹介
     オンダン農業協同組合は、国産鶏肉生産の基盤強化のため132農家が集まり、昭和57年に設立されました。同年、自分たちの生産した鶏を消費者へ直接届けるため、324万羽/年の処理が可能である食鶏処理場を設置し、正肉加工を開始しました。昭和61年には加工工場を整備し、組合員が生産した生鳥を業務用カラアゲやつくね等高度加工品まで製造可能になりました。更に、消費者からの安心安全指向の要望に応え、平成10年度にはHACCPにも対応した加工施設を設置し、敷地内の中央研究所を利用し、独自で品質管理や衛生面の徹底を開始しました。平成13年には、全国に先がけ特定JAS(地鶏肉)の認定を取得し、安心安全指向の徹底化を図りました。平成15年度には資源循環型堆肥施設を設置し、地域の耕種農家とタイアップし、資源循環型農業の推進にも努めてきました。
     なお、県内外から廃鶏処理を引き受け、年間84万羽以上の集荷・処理加工をして、ミートボールやミンチを製造しており、養鶏業を側面から支えています。
     これら鶏肉の生産と販売を中心として、産業が少なく過疎化が進む県南部に一大食鳥産業が形成されており、地域雇用はもとより、食鳥処理等で35名の外国人の受入れを行うなど、関連産業も含め地域の活性化に大きな役割を果しています。

     2)県下全体で取り組む阿波尾鶏の生産・流通システム
     阿波尾鶏の生産は、官民が一体となって組織する阿波尾鶏ブランド確立対策協議会が大きな役割を果たしています。オンダン農協は、この協議会に参画し、その中心メンバーとなって、計画生産に生産者の立場から提言を行うとともに、全体計画にそった自らの生産拡大を図り、流通システムを整備し、養鶏業発展に尽力してきました。また、特定JAS規格による安心・安全な生産システムの確保は、消費者の大きな信頼を得て、順調に需要の伸びにつながっています。

     3)養鶏農家の廃業を防ぐ取り組み
     近年、高齢化、後継者不足等の影響を受け県内では廃業する畜産農家が相次いでいます。現時点で阿波尾鶏を飼養しているオンダン農協の正組合員が15戸、准組合員が8戸の合計23戸でありますが、23戸の事業主の年齢構成は、20代が2戸、30代が1戸、40代が3戸、50代が3戸、60代以上14戸で、高齢農家の割合が高くなっています。しかしながらオンダン農協では、養鶏農家の廃業を防ぎ、若い後継者が経営を安心して引き継ぐことができる数々の取り組みを行い、若い世代が着実に育ってきています。
     まず、養鶏業を行う上で、最も配慮しなければならない環境対策でありますが、オンダン農協では、平成16年7月より処理費用を徴収し鶏ふん処理を行っています。組合員のほとんどが、鶏ふんの処理をオンダン農協に委託しており、堆肥処理のコスト面・労力面で大きな支援になっており、養鶏農家の経営持続に大きく貢献しています。集ふんには、オンダン農協の職員3名が従事し、たい肥製造には、職員2.5名が従事しています。
     また、オンダン農協は、養鶏専門農協として徹底した生産技術等の指導により生産性の向上を図り、養鶏農家及び同組合の経営安定に力を入れてきました。職員が定期的に各生産者の農場を回り、徹底した技術支援を行っておりますので、経営を引き継いだばかりの後継者でも安心して経営することができます。
     更にオンダン農協では、後継者が安心して経営を引き継げ、生産性向上を図るために、国の補助事業等も積極的に活用し、モデル鶏舎(モニターカメラや日々の体重、飼料の摂取量、飲水量、鶏舎内温度、外気温等がパソコンで1目で分かる管理システム等を導入した鶏舎)を新設し、貸付を行う等の支援活動も行い、養鶏業発展に努めております。

     4)消費者へより良いものを届けたい
     オンダン農協では、消費者により良い、安心安全なものを届けるために、平成10年度にHACCPを取得しました。平成13年には、全国第一号の特定JAS地鶏の生産工程管理者認定も受けています。これら安全・安心を常に確保するため、中央研究所で厳しい細菌検査等が行われています。
     また、より豊富な種類の製品を消費者へ届けるために、加工工場には、煮込みライン、肉団子ライン、スライスライン、フライライン、焼きものライン、ボイルライン、特殊ラインなど、あらゆる種類の加工食品の製造に対応できる設備が完備されています。更に、中央研究所では常時職員が新商品の開発を行っております。

     5)地域社会への貢献
    ・就労機会の提供
     オンダン農協は職場の少ない県南地域の重要な雇用場所となっております。現在230名の雇用を行っています。(内外国人35名)若い人に地元での働き口を提供することにより、過疎化の抑制に重要な役割を果たしています。
    ・食育活動
     地産地消活動推進のため、県内の各種イベントに積極的に参加し、阿波尾鶏の知名度アップを図ったり、阿波尾鶏のメニューを提案したりしています。更に新しい試みとして、徳島出身の著名な料理研究家を講師に招き、給食センターと合同で料理教室の開催や、地元の小中学生の職場見学の受け入れを始め各種研修の受入れも行っています。
    ・堆肥を利用したボランティア活動
     地域の運動公園の植栽花木に堆肥(10t)の無償提供や、畜産フェアと同時開催される堆肥共励会に参加し堆肥の販売やPR活動を行っています。なお、平成16年度は、台風の被害で、吉野川流域の農地が土壌浸食などで傷んだため、地力回復のために1,000トンのたい肥を贈与しています。
    ・地域住民とのコミュニケーション
     オンダン農協では、毎年グランドゴルフ大会を開催等、地域住民とのコミュニケーションを積極的に図っています。

    (2)当該事例の活動目的と背景

     昭和40年代後半頃からブラジルなどから大量に鶏肉が輸入されるようになり、国内の養鶏産業は大打撃を受けておりました。そこで管内養鶏農家から、一般ブロイラーよりも付加価値の高い美味しい鶏が作出できないかとの相談が多数あり、同業者と意見交換を行い、県に相談を持ちかけたことで、阿波尾鶏の開発が始まり、旧畜産試験場において10年の歳月を経て平成元年「阿波尾鶏」が作出されました。
     オンダン農協は、それら輸入鶏との差別化を図り、組合員の経営安定のため、平成3年から、阿波尾鶏の飼養を推進してきました。更に、生産の中心的存在として阿波尾鶏ブランド確立対策協議会へ参画し、次世代の鶏肉の決定版と位置づけ、生産・販売事業に取り組んでいます。

     
    (3)活動の成果
    

     1)地鶏生産羽数全国NO.1の阿波尾鶏
     オンダン農協は、組合員の経営安定及び技術向上を目指しながら、より収益性の高い阿波尾鶏の増産を図ってきた結果、消費者に地鶏特有のおいしさと値頃感により親しまれ、平成10年度から地鶏生産羽数全国1位になりました。また、同13年3月には日本で初めて「特定JAS(地鶏肉)」認定を取得し、同16年度には県出荷羽数が200万羽を超えました。また、オンダン農協の発展と同じく、雇用機会の拡大も図られ、昭和57年には約100人であった職員数が、現在230人もの職員を雇用しています。

     ・ 安全、安心性
     阿波尾鶏は平成元年に県畜産試験場(現畜産研究所)が開発した地鶏で、原々種の維持改良、原種鶏用種卵供給は公的機関である県畜産研究所が行っておりますので、外部に流出する事や外部から混入する事がありません。
     また、オンダン農協では、飼料のトウモロコシや大豆油粕には、PHF及びNON-GMOを使用し、 抗生物質の用法・用量も生産者に徹底指導しています。農林水産省の安全基準では、出荷前7日間の休薬期間が必要としていますが、オンダン農協では休薬期間を50日以上に設定しています。
     更に衛生対策のために農家に消毒の徹底をさせていますが、個人差があるために、職員が全農場を回り、再度消毒をする等の技術支援も行っています。

     ・ 極めて優れた成績
     オンダン農協では、専門技術職員による徹底した指導により、成績は非常に優れています。阿波尾鶏は80日齢以上での出荷、育成率約100%(つけ雛を割らない)、平均出荷生体重約3.2キログラム、飼料要求率は約2.596で、組合員となっている生産者は、1羽当たり189円の粗利益(一般ブロイラーで約100円)を得ております。(平成18年度)。
     このように、阿波尾鶏は飼育成績が極めて良い上に、その製品は独特の食感と美味が好評で、平成23年度には、オンダン農協の阿波尾鶏の生産を年間200万羽にまで拡大する計画です。

     2)全国NO.1への道

    (平成19年度の阿波尾鶏の県生産量約226万羽のうち、オンダン農協の生産量が162万羽であり、全体の70%以上がオンダン農協の組合員で、地鶏の阿波尾鶏の生産羽数全国NO.1に大きく貢献しています。)

     阿波尾鶏の生産性に関して、オンダン農協では、平成4年に阿波尾鶏の生産が始まって以来平均育成率は98%と高く、同13年にはほぼ100%に達しています。また、飼育日数は80日から85日で3kg以上の増体となっています。年間3.3回転生産で、1農場の平均規模が16,000羽と普通の地鶏と比較できないほど生産性に優れています。また、生産者にとって、飼育日数が一般ブロイラーより長く、飼料使用量も多いため、コストは高くなりますが販売価格は高く、1羽当たり粗利益が一般ブロイラーより約2倍で極めて収益性の高い鶏種となっています。組合員は零細小規模が多く、増産には限界となってはいますが、オンダン農協の鶏糞処理事業等により労働量が軽減され、老齢化する小規模生産者にとっても、安心して経営を続けられます。
     阿波尾鶏の販売では量販店が6割を占めて中心であり、残り3割が外食向けとなります。主な販売先の地元企業である?丸本は、阿波尾鶏で県内外のレストランと提携して特殊メニューにすることで認知度が高まるほか、地鶏肉としては価格も手頃で取引条件がよく、販売量も安定するなどのメリットがあるということです。ほかに量販店や生協、卸売との新たな取引により、平成13年に52万羽の増産で、売上増加の最大要因となりました。
     以上のように、多様な消費者の需要に応えるような生産から高度加工、販売までの一貫体制を構築していることが、オンダン農協の強みといえます。

    ※(株)丸本について
     オンダン農協の組合員が生産した生鳥は、農協の食鳥処理場へ出荷され、処理加工された後、?丸本を通じ、販売されます。増産のためには販売力の強化が必要となり、?丸本とタイアップを行い県外への販売促進を行ってきた結果、現在では主に京浜・阪神地方に出荷されています。販売当初は、処理した肉を冷凍するのがほとんどでありました。しかし、店頭での試食販売等を徹底した結果、現在の主な販売は、県の阿波尾鶏ブランド確立対策協議会から認定を受けた販売指定店が販売の拠点となっています。県外販売活動により、県外指定店も増加しています。また平成19年度地域別販売の割合は、京浜(32%)阪神(25%)中四国(11%)徳島県内(23%)その他(9%)となっています。
     また、オンダン農協と共同使用している中央研究所には、製品の検査と工場の衛生・品質管理のために研究員が常勤しています。

     
    (4)地域振興図

     オンダン農協は地元企業の?丸本に製品の大部分を流通させることで、両者の有機な連携により、食鳥産業 を地場産業として位置付け、阿波尾鶏及びブロイラーの増産に大きな役割を果たしてきました。また、オンダ ン農協、?丸本の機器具等のメンテナンスを行ってきたマルニカンパニーも含め、3者で提携しながら事業を行 ってきた結果、規模拡大が図られ、地域の雇用機会が広がりました。現在3者合計で500人を越える雇用を行 っています。また、堆肥を地元ブロッコリー生産組合等へJAを通じて供給することで、耕種農家の地力増進 と資源循環型農業の推進にも大きな役割を果たしています。

    (5)今後の課題

    ・増産体制整備
     現在、オンダン農協では平成23年度までに阿波尾鶏の生産を年間200万羽まで増産し、それ以降は300 万羽まで増産する計画をたてています。そのためには、経営者数及び鶏舎数が不足してくる可能性があります。
     そこで、農家の後継者確保と増羽のために、空鶏舎の後継者への斡旋、既存鶏舎増改築等、更にモデル鶏舎新設とそのレンタル等の対策が必要と考えられます。
     又、技術革新の目覚しい食鶏処理場の近代化やアドバイザーの育成も急務です。
     なお、増産に合わせて鶏糞及び汚泥等の増加が見込まれることから、それに伴う生産堆肥の販売先の確保も当面の課題となっています。このため、ホームセンター等量販店への販路拡大に努力をしています。また、栽培作目に適応したより良質な堆肥の生産にも取組んでいます。更に、現在は低価格でのバラ販売や15kg/袋のみの製品ですが、地元量販店向けに女性や高齢者にも取扱いし易い8kg/袋をテスト販売しています。

    3 当該事例の活動・成果の普及推進のポイント
    (1)普及にあたっての留意点

     当事例において地鶏肉による地域ブランド確立の成果をまとめると
    1.経営の収益性の高い地鶏の生産が拡大することによって小規模経営の多い組合員の経営安定を図ると共に、
    県産ブランドを推進して全国一になっています。
    2.生産量増加に伴う業務拡張により、地域に雇用機会を提供し、過疎化が進む地域活性化に貢献しています。
    

    当事例の普及推進のポイントは

    1)鶏農家を支援する専門農協としての活動
     オンダン農協の指導の下、各養鶏農家が連携をとりつつ、阿波尾鶏の飼養管理マニュアルに基づき飼育方法及び 飼育期間について統一された飼育が実施されています。更に、消費者の信頼を得るため特定JAS認定による飼 養管理を行っていることも重要です。以上のように厳密な安心・安全のための体制作りを推進することです。
     また、鶏糞処理等の労働軽減が高齢化する小規模生産者にとっては、非常に好評であります。更に技術職員によ る衛生面のサポート・事故発生時の速やかな対応等生産者を支える体制作りにも留意しなければなりません。

    2)官民一体となったブランド推進
     県産ブランドを推進することで、関係機関の理解が得られやすい、また、生産者の要望を行政に伝えることで効 果的な施策の創出に寄与しています。

    (2)実施体制図


    豊かな自然に囲まれた立地条件


    阿波尾鶏


    モデル鶏舎の設置


    鶏肉加工工場


    中央研究所


    堆肥処理による農家支援


    職場見学の様子


    ?丸本の直販店

    Copyright(c) 社団法人中央畜産会 All Rights Reserved.