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  • 畜産大賞事例情報 > 新潟県 > 平成20年度(2008年度) > 共同作業を基盤とした畜産基地入植者の和牛繁殖経営

    共同作業を基盤とした畜産基地入植者の和牛繁殖経営

    http://group.lin.gr.jp/grand_prix/con/niigata/

    新潟県

    1 地域の概況

    (1)地域の位置

      当該組合のある阿賀町は、平成の大合併で4町村が合併して誕生した町である。位置は、県都新潟市から東に約60?にあり、東は 福島県会津地方に接して会津文化の残る町でもある。町の中央を大河「阿賀野川」と磐越自動車道が貫き風光明媚な山間地域であ り、人口は14,700人余り、面積は953K?である。   気象条件は、年間平均気温が11℃〜12℃であるが年間の寒暖差は30℃もあり、1日の温度差も大きい。気候は高温多湿で雨量が 多く冬期の積雪は平野部で1.5m、山間地は2.5mに達する。根雪は12月から3月の4か月間におよぶ。

    (2)主産業      産業は、第一次産業の林業と農業が主であるが、山・川など緑豊かな自然と温泉を持つ観光地でもある。

    (3)農業と畜産

      農業のうち、耕種部門は稲作が中心で、他に蔬菜がある。畜産は肉用牛経営3戸と採卵鶏1戸があり、肉用牛は草地を基盤にした 繁殖和牛60頭と肥育牛60頭が飼養されている。

    2 経営の概況

    3 経営・活動の推移

    4 経営・生産活動の内容

      養豚の一貫経営を営んでいて、肉用牛飼養の経験が全くなかった2戸が昭和60年に、農用地整備公団が建設した新潟北部第一区域 畜産基地に和牛一貫経営を目指して入植した。   経営規模は各自繁殖牛20頭の完全一貫経営で、粗飼料生産基盤は共同利用草地24haである。   経営開始当初は、初期投資額が多く、多額の負債額と高金利で入植後10数年は資金難に苦しんでいたなか、1人は体調を崩すなど が重なり、経営撤退を話し合った時期もあったが、互いに支え合ってしのいできた。   同時期に建設された他の基地では、経営難から中止者も出るなかで、町は入植者の経営状況を理解して、償還金を緩和するため の措置を行い残額の一括借換を行った。また、JAグループの飼養技術指導や(社)新潟県畜産協会の経営診断指導、地域農業普及 指導センターの支援を受け、経営の方向を定め、粗飼料自給率の向上と自己資本の充実を図るため以下の努力を続け、今日の成果 に結び付けてきた。

    (1)過去の経営生産技術データを検討し合いながら経営方針に生かしている。

      飼養牛の管理状況や飼料作物の生産状況、子牛、肥育牛の販売状況を記録して分析し、時々に検討し合い、経営方針を立てて繁 殖牛改良のための導入や更新の方向、粗飼料生産の共同作業の段取り、飼養牛の管理体系を整えてきた。

    (2)共同作業体系を整え、効率的な収集により粗飼料の安定確保が図られた。

      畜産基地入植の準備段階から、粗飼料生産は仲間との共同作業により実施してきた。  昭和60年には、3戸で八木山草地利用組合を設立(設立直後1戸が経営を中止して脱会)し、基地事業で造成した町有草地24haを借 受けて管理・利用を本格化させた。   しかし、固定サイロを利用したサイレージ調製は、天候に左右され労働生産性が低いため、平成7年に草地組合で県単補助事業(40%補助)と町の資金貸付によりロールベーラとラッピングマシーンを導入して、効率的なサイレージ生産体制を確立した。また、 圃場脇に設置した堆肥盤を利用してロールの一時保管を行い、運搬時間の分散化や破損防止に努めている。

    (3)遊休草地の活用と飼料用稲の収集で粗飼料基盤を強化している。

      共同作業で、既存の機械を活用し稲わらや飼料用稲の収集を行うとともに、平成19年からは、他地域の肉用牛飼養者が数年前利 用を中止した遊休草地の管理を町から受託して、粗飼料生産基盤の強化に努め、自給率の向上を図った。  平成19年の粗飼料自給率は93%(2戸平均)と高い実績である。

    (4)自家生産堆肥の施用と共有機械の長期利用により粗飼料の生産コスト低減を図っている。

      自家生産堆肥の施用や共有機械の長期利用、自分達での機械メンテナンスにより、粗飼料の生産コストを低減している。

    (5)負債整理資金の活用で財務改善を図った。

      入植当初から平成10年までの14年間は、当初計画通り完全一貫経営を行ってきたが、初期投資額が多く生産物も販売するまでに 長期間を要して、運転資金が固定化するなど厳しい資金繰りが続き負債減少がなかなか出来なかった。   このため、平成10年に元金償還額と支払利息の低減を図るため、町の理解のもと低利長期の農家負担軽減支援特別資金に借換を 行い財務内容を改善した。

    (6)経営体系を完全一貫から一部一貫経営に転換して運転資金を確保した。

      運転資金の回転を速めるため、平成11年から生産子牛の一部を市場で販売する体系に転換し、運転資金の回転を早めたことと、 負債整理資金への借換により支払利息が軽減されたことにより自己資本が増加して財務状況が好転した。

    (7)役割分担を行い経営管理の合理化を図っている。

      2戸の入植者は、種々の共同作業を行うほか、それぞれに役割を分担して経営に当たっている。徹氏は機械に詳しいことから農機 具の運用やメンテナンスを受持ち、昇平氏は繁殖牛の雄牛選定や生産資材の取得交渉を行い、昇平氏の後継者は飼養牛の削蹄と人 工授精を受持ち合理的な経営管理体制を整えている。   また、牛舎が隣り合っていることもあって、冠婚葬祭や通院などの時には互いにヘルパー的役割を担い、助け合って飼養管理を 行い事故発生防止に努めている。

    (8)飼養牛の改良に努めている。

      経営開始当時は、資金不足のなかで早く頭数を揃えることを優先したため、必ずしも高資質牛が導入されたとは言えず、肥育牛 を販売しても枝肉価格が低迷する状態が続けた。和牛は品質が価格に大きく影響することを学び、以後、老齢牛や低能力牛の更新 に際しては外部から資質の高い牛を導入するとともに、肥育結果を見て優れた能力が認められた牛を自家育成しながら20数年をか けて改良してきたことにより、枝肉品質の向上や子牛市場での評価が高まってきた。   現在飼養されている繁殖牛のうち高等登録牛が3頭、申請中の牛が3頭いる。また、新潟県優良雌牛増殖事業で認定された優良雌 牛が7頭おり、資質の高い繁殖牛が揃ってきている。

    (9)津川堆肥センター利用組合を設立し地域循環型農業を実践して町の農業振興に努めている。

      平成12年に耕種農家5戸とともに設立した津川堆肥センター利用組合では、当該経営者2人が主になって、酒米生産農家、地域米 生産農家、飼料用稲、稲わら収集田、更には野沢菜生産農家の田畑に共同作業で堆肥を施用し、農地の地力維持に努めている。さ らに、町の遊休草地管理委託を受けて堆肥を施用するなど地力を高めて草地の有効利用に努めるなど、町の農業の活性化に貢献し て信頼を得ている。

    5 地域農業や地域社会との協調・融和のために取り組んでいる活動内容

    (1)地域の農業・畜産と共存・共栄のための活動

      米の生産調整が強化されている状況下で、転作作物としての飼料用稲は米作り農家には水田での栽培が容易な作物である。この ため作付けを希望する水稲農家には、町が独自の助成金を設けて作付けを推進している。  当該経営は、現在自給粗飼料生産基盤は充実しているが、繁殖牛の増頭を図るためには、さらに粗飼料を確保することが必要なこ とから、飼料用稲の供給先となり、町の水田農業を維持するために大きな役割を担っている。

    (2)地域資源の循環型畜産の実践

      地域の耕種農家5戸と当該農家2戸の7戸で組織する津川堆肥センター利用組合の堆肥センターに原料を供給するとともに、堆肥を 必要とする酒米や地域米生産農家、飼料用稲生産農家には春と秋、野沢菜生産農家には夏に堆肥散布機械を持込んで施用する。ま た、自作地の水田と稲わら交換田及び草地にも施用するなど全量を土地還元して、地域循環型農業の推進役になっている。

    (3)担い手育成

      徹氏は、現在は会社勤務をしている二男に繁殖牛管理技術等の手ほどきを行うなど後継者育成中である。   昇平氏は、自身の後継者と家族経営協定を結び経営に参画させている。また、指導農業士や農協理事として、地域後継者の相談 役として担い手育成活動を行っている。

    (4)畜産への理解を深める活動

      地区の小学校の見学の場として、児童を受け入れて生き物の大切さを教えている。

    (5)地域活性化のための活動

      5月に町が開催するまつりである「津川狐の嫁入り」、7月の農業まつりやJAが11月に開催する青空市場で地域の産物として 当該農家が生産した牛肉の販売を行い、地元消費者に肉用牛経営者の存在と県産和牛統一銘柄「にいがた和牛」の知名度向上に努 めている。

    6 今後の目指す方向性と課題

      現在ある草地基盤を充実して、飼料価格高騰に対応しながら、繁殖牛の能力向上を図るための更新を確実に行い、低コストで品 質の高い牛肉と子牛を生産できる一部一貫経営を継続して行く。

    (1)経営規模の拡大

      後継者が経験を積んで完全に経営を継承できるようになるまで、粗飼料生産基盤の一層の充実と飼養牛の適切な更新を進めなが ら、継承後に向けた増頭を図る。

    (2)経営管理技術の継承

      現在経営に従事している後継者と後継予定者に対して、自分たちが牛飼経験で培った経営管理技術を将来経営者として成り立つ よう伝えていく。

    (3)共同作業の継続

      今日経営が継続している最も大きな要素は、粗飼料生産をはじめとした、日々の飼養管理や堆肥の処理、生産物の販売等のほと んどを2戸共同で行ってきたことにある。今後もこれまでの共同作業を後継者に継続しながら、互いの飼養牛の資質向上と増頭を目 指していく。

    7 自給飼料の生産と利用状況

    8 家畜排せつ物の処理・利用状況

     処理方式:混合処理

     処理方法:敷料(オガクズ、モミガラ)とふん尿の混合物を牛舎から搬出後、堆肥舎・堆肥センターで切り返し方式で発酵処理

     利用内容:販売40%、交換20%、自家利用(草地散布)40%

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