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    JAみのり 播州百日どり生産者協議会

    http://group.lin.gr.jp/grand_prix/con/hyougo/

    兵庫県

    1 地域の概況                                            

     多可町は、平成17年11月1日に加美町、中町、八千代町の3町が合併して誕生した。兵庫県のほぼ真中に位置し、周囲を三国岳、千ヶ峰、笠形山、竜ヶ岳、篠ヶ峰など中国山地の山々に囲まれ、三国岳を源とする、和紙「杉原紙」で有名な清流「杉原川」が加美区、中区を流れ、笠形山を源とする野間川が八千代区を流れる。
     人口約24,917人、世帯数7,397戸、総面積185.15k?、そのうち山林面積が約148 k?と全体の79.8%を占める。平地を確保することができず、宅地が2.8%、田畑が8.1%主な産業は農業、林業、綿織物工業となっている。
     この地域の特産である和紙「杉原紙」は、美しい杉原川の清流の水を活かし、7世紀後半から紙作りが行なわれ、奈良時代後半には「播州紙」として有名となり、鎌倉、室町、江戸と各時代で、一般の庶民から公用、そして浮世絵など、全国的に広がった。その後、明治、大正になり工業化の波におされ、昔ながらの「紙すき」は一時途絶えてしまったが、昭和47年に旧加美町が杉原紙研究所を設立し、伝統工芸の復活を果たした。現在、和紙「杉原紙」は宮中行事に利用されるなど、後世にその技術を伝えている。
     そして、多可町は360度山々に囲まれ、その豊かな自然を活かした農業振興を中心とした町づくりを展開しており、「豊かな自然」と「農村景観」を活用した「都市と農村の交流」を町全体で取り組み、自然の宝庫として全国的にも有名な地域となっている。
    町内には多くの田園風景が広がり、中でも加美区岩座神(いさりがみ)集落には、日本の棚田百選に選ばれた全国でも数少ない石垣のある棚田が保全されている。この景観を生かし、平成9年、景観保全と都市住民との交流を目的として県内初の棚田オーナー制度を導入、都会から消費者を集め田植えや収穫作業などを通じた交流活動が盛んに実施されている。田植え祭やかかし祭、刈り取り後の田んぼでコンサートなど多くのイベントも行われ、都市との交流が行われている。
     また、日本一の酒造好適米「山田錦」発祥の地(山田錦の母方「山田穂」を発見したのは中区東安田の豪農山田勢三郎翁と言われている)となっている。現在でも、「山田錦」の生産に取り組む農家は多く、全国各地の蔵元へと出荷される。山田錦が誕生してからちょうど70周年を迎えた平成18年には「日本酒で乾杯のまち」多可町を宣言し、「山田錦」が生まれた自然と文化を尊び、日本文化に深い関わりを持ってきた日本酒をこよなく愛することをアピールした。
    このほか、多可町内では、町村合併後も多くの豊かな自然に囲まれたこの地域ならではの様々な活動が各地区で行われている。
    

    2 地域畜産振興活動の内容 (1)地域畜産振興につながる活動・取り組みの具体的な内容   1)31年続くブランド鶏肉「播州百日どり」(国産銘柄鶏)  「播州百日どり」は、昭和53年から31年つづくブランド肉鶏である。旧加美町(現多可町加美区)の生産者と旧加美町農業協同組合(現みのり農業協同組合)がお互いに協力し、「昔ながらのかしわの味」にこだわりをもって、その熱心な研究と開発により、肉鶏の生産振興が継続されてきた。 この地域は、昭和30年ごろ、鶏卵、ブロイラー生産とも養鶏事業が盛んで、養鶏生産者と旧加美町農業協同組合の協力のもと、食鳥処理場、加工センター、輸入素ひな検疫所、育すう舎、GPセンター等を稼動させていた。昭和50年代に入り、ブロイラー生産から独自のブランド肉鶏の生産に転換、昭和53年に銘柄肉鶏のブランド化に取り組んだ。取組み当初は、「播州100日地どり」してスタートし、平成11年に特定JASの地鶏肉の規格が定義されたことを受け、現在の国産銘柄鶏「播州百日どり」と改めている。 以後、農協合併により、平成4年に「北はりま農業協同組合」、平成12年に現在の「みのり農業協同組合」となったが、「播州百日どり」は、地元地域の生産者や農協等の「播州百日どり生産協議会」により現在まで31年間続けて生産販売されている。

    2)「昔ながらのかしわの味」にこだわった鶏肉生産 (1)農協による育すう管理 「播州百日どり」は、種鶏として、雄鶏にホワイトコーニッシュ、雌鶏にサッソー種を交配している。サッソー種は、ロードアイランドレッド系でフランスより直接輸入、これに対応するため、食鳥処理・加工センター内にある輸入ひな検疫施設で検疫が行われている。そして、素ひなは、農協直営の育すう場で約20日齢まで育すうを行う。  また、育すう舎では、品質の統一、疾病予防を図るため、20日齢まで育すうの間、マレック病、および種痘ワクチン接種、ニューカッスル病、伝染性気管支炎混合ワクチン接種、ガンボロ病ワクチンの接種を行っている。  (2)生産者による育成 生産農家では、農協から購入したヒナ(雄雌混合)を各生産農場において20日齢より100日齢まで飼養管理を行う。ブロイラーと異なり大型鶏で、長期飼育を行い、85日齢以降、闘争性により爪の傷、突付き、増体による頓死など事故等の管理が難しいが、そのため、各生産者では、1?あたり5、6羽の「地鶏」の基準よりもさらにゆったりとした開放平飼い鶏舎で、採光、運動量を重視した飼育を行い、ストレスの少ない環境で飼育している。 そして、100日齢の出荷時には、雌3.8kg、雄4.5kg以上になり、「播州百日どり」は、品質重視の大型鶏の銘柄鶏である。  給与飼料は長期飼育を行う播州百日どり専用の配合飼料を使い、不断給餌で、トウモロコシなどの穀類が62%、植物性油粕類(大豆油粕、菜種油粕)24%、そうこう類、動物質飼料、その他ミネラル等となっている。 また、飲水には、町内80%を占める山々から流れ出る天然水を活用している。また28日齢、48日齢でニューカッスル病ワクチン接種を行う。  (3)農協による食鳥処理・販売  生産者が育成した「播州百日どり」を、全量農協が買上げ、みのり農協協同組合加工センターにて食鳥処理し、近畿圏を中心に販売を行っている。  「播州百日どり」は、長期間飼育することで、肉に含まれる旨味の素といわれているイノシン酸の含有量が多くなり、他にはない独自のフレッシュで適度な歯応えと甘味、コクがある、昔ながらのかしわの風味が味わえる、鶏肉となっている。 大阪、京都、神戸などの百貨店、スーパー、地元専門店などを中心に出荷され、長年の固定ファンも多い。また、最近ではネット通販にも注力し、全国に向けて販売している。 平成20年度の「播州百日どり」の出荷量については、年間出荷羽数194千羽、処理量821t、販売金額2億6千万円となっている。

     

     
    

    (2)当該事例の活動目的と背景

     「播州百日どり」は、昭和53年から、開発・生産が行なわれ、全国的でも、当時はブランド鶏肉生産の取組み例は少なく、先駆的な事例である。 それまでブロイラー飼育が盛んで、ウィンドレス鶏舎で運動をさせず栄養価の高いエサを給与し短期間に成長させ、出荷していた。しかし、消費者の生活水準の向上による「高品質で美味しく、安全な鶏肉」を求める志向の変化、そして、自然豊かな環境を大切にする生産者の思いが、効率化だけを求め大型化するブロイラー生産に見切りをつけ、独自のブランド鶏肉の生産に転換、この原点回帰とも言える「昔ながらのかしわの味」にこだわった、「播州百日どり」の開発・生産に結びついた。  種鶏の開発にあたり、当時、アメリカに長期飼育が可能でロースター用に飼育されている鶏肉があるとの情報を得てすぐさま導入した。そして、生産者、農協、関係機関等生産方法の研究・開発を行い、100日間の飼育方法を確立し、「播州百日どり」のブランド化とその振興に地域一丸となって取り組んだ。 そして、ニューハンプシャー種×横斑プリマスロックのF1にアメリカのシャモ系ハーバードロースターの雄との交雑による「播州100日地どり」が開発された。 また、昭和53年の開始当時は、食鳥処理場を夜間に稼動させ、処理したその日に出荷集配し京阪神方面への地の利を活かした販売戦略により「鮮度抜群」と好評を得て、銘柄鶏肉のブランドの地位を確立し、昭和58年には特許庁に商標登録を行い、全国的にも加美町の「播州100日地どり」として認知されるようになった。 そして、平成7年に種鶏を見直し現在の「播州百日どり」の生産体制となっている。

     
    

    (3)活動の成果

    1)地域ブランドの確立による小規模肉用鶏農家の振興 「播州百日どり」は、素びなの導入、初期の育すうを農協で行い、農家で育成したものをブランド肉鶏として全量引取り出荷する体制が確立されている。長年の消費者の固定ファンを持ちこれまで販売を継続してきている。 生産振興のため、生産農家と農協において、素びな価格および給与飼料の価格を協議し、生産農家に利益が確保できるよう調整している。 生産農家は最近10年間は6戸で、常時飼養羽数は5千羽から3万羽である。生産者は33歳から79歳で、自動給餌機などの活用など、飼養管理も効率化され、小規模肉用鶏農家においても、所得を確保しながら長く生産を継続できるようになっている。また、現在大きな負債を抱える生産者も特に無く、健全な経営が行なわれている。 高齢化に伴い、後継者の確保が課題となるが、平成17年、平成19年に、経営を廃業される際に、町内の方から新規就農者を向かえ、経営の継承を行なった。 新規就農にあたり、鶏舎等施設を引き継ぎ、生産技術の習得等においては、生産者協議会が中心となって、新規就農者を補助した。 いずれも全く農業未経験者であったが、良好に経営の継承が行なわれた。 今後も、廃業の際には、町内を中心に経営の継承行なっていくことを検討している。これは、「播州百日どり」の生産体制が確立されており、「技術の習得」、「生産施設の確保」「周囲の理解」を比較的容易に得ることができることにより、経営の継承に対する課題を少なくしている。 この地域では、「播州百日どり」のブランド鶏の生産振興により、地域の畜産振興を図ってきた。

    2)地域産業としての「播州百日どり」 「播州百日どり」は、畜産振興だけでなく、地域産業の一つとして様々な雇用や商売を創出し、地域の活性化に貢献している。 その一つとして、食鳥処理および加工センターでは、地域住民を中心に約50名を雇用している。その他、地元Aコープ、道の駅、町内の宿泊施設などにおいても、「播州百日どり」を特産品として取り扱っている。 その他、近隣市町の19の鶏肉専門店では、「播州百日どり」を看板メニューにしており、神戸市3つ、加古川市1つ、加西市1つ、小野市2つ、加東市2つ、西脇市4つ、そして多可町内に6つある。鶏肉専門店では、新鮮な状態に手に入る「播州百日どり」だからこそ提供できる「刺身」をメニューとする店が多く、そのほかにも「ちり鍋」、「むねの造り」、「きも造り」、「タタキ」、「もものステーキ」、そして、定番の「焼き鶏」、「手羽先」「つくね」、「鶏皮」等串焼き、さらに、多可町産のコシヒカリ、卵を合わせた「播州百日どりどんぶり」や、イタリア料理店による「播州百日どりのピザ」など、様々な形で消費者に提供されている。 31年つづく「播州百日どり」の生産振興が、地域に産業と地域文化を造り出し、 地域振興産業となっており、多可町の特産物として全国に向けてその存在をアピールしている。

     
    3)地域の女性グループがつくる郷土の名産品「とりめしの具」
    多可町加美区の主婦7人でつくる「みつばグループ」が販売する「とりめしの具」は、この地域で集落の行事の際に女性達がつくる“混ぜご飯”を商品として、一年がかりで開発された地域の名産品である。
    この「とりめしの具」は、播州百日どりのもも肉を醤油などで煮込み、その煮汁にいりこだしを加え、地元のゴボウ、ニンジン、高野豆腐などを煮る。また、素材の味を活かすよう、鶏肉とほかの具は別々に真空パックとなっている。炊きたてご飯に混ぜるだけで、美味しい播州百日どりや地域の素材の混ぜご飯が完成する。道の駅、関西のスーパー、百貨店、通信販売など幅広く販売されている。
    「とりめしの具」は、優良ふるさと食品中央コンクールで農林水産大臣賞を受賞し、地産地消を推進する「兵庫県食品認証制度」の第1号の認証食品である。この「兵庫県食品認証制度」は、兵庫県産の食品を一定基準以上使用し「個性・特徴」、「安全性」、「トレイサビリティ」などの「信頼性」を評価し認証する制度である。
     
    

    (5)今後の課題    1)「播州百日どり」の将来の生産体制の構築  多可町においても、地域の高齢化が進んでおり、農業全体の後継者不足が問題となっている。「播州百日どり」の生産者においても同様である。 事業の継承が行われている生産者もあるが、後継者が決まっていない生産者もあり、今後の生産体制の確保する必要がある。 播州百日どりの生産においては、生産農家のほか、農協直営農場がある。今後、生産農家が廃業した場合、農場など生産施設を買い取り、生産体制の確保に努める。またそういった農場等への地域への新規就農対策も検討していく。

    2)「播州百日どり」による地域社会の活性化の推進 「播州百日どり」を中心とした地域産業を今後においても発展、継続していく必要がある。今後においても、「播州百日どり」の生産体制の確保と、インターネットの活用などによる全国への情報発信の拡大を行い、ブランド力の強化および保持、販売体制の拡大を図っていく。 そして、全国の「播州百日どり」の味を待つ消費者に、「むかしながらのかしわの味」を今後も届け、今後も、畜産のみならず、地域産業の一つとしてその活性化に努めていく。

     
    3 当該事例の活動・成果の普及推進のポイント
    (1)普及にあたっての留意点
    

    「播州百日どり」の生産は、生産者と農協において形成された、インテグレーションで、ブランド鶏肉の生産・流通に関わる、素ひな・飼料・衛生プログラムの供給、飼育体制およびプログラム、と畜解体処理加工、流通、販売など、川上から川下までの部門を統合した大規模生産・流通システムである。  どちらか一方が利益を独占せず、双方が利益を守りつつ、双方が発展するように努める必要がある。

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