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    苦境に打ち勝つ養豚経営 −枝肉出荷2,000kgを目指して−

    http://group.lin.gr.jp/grand_prix/con/ehime/

    愛媛県

    1 地域の概況

    (株)多田ファームの所在する大洲市は愛媛県の県都松山市の南西50kmの地点にあり、市の中央部を1級河川である肱川が流れている。また、平成12年7月には四国縦貫自動車道の伊予〜大洲間が開通し、松山から車で約50分と近くなり、更なる産業と観光の発展が期待されている。 なお、平成17年1月11日に旧大洲市、長浜町、肱川町、河辺村の1市2町1村が合併し、新大洲市が誕生した。

    本市は、肱川が育んだ肥沃な土壌と水利に恵まれ、県下有数の農業地帯として発展してきた。平坦部の野菜と米・麦・大豆、伊予灘に面した柑橘栽培、中山間地域の野菜や葉タバコ、国営パイロットでの複合経営などのほか、畜産についても県内屈指の地域である。 かつては手すき和紙、木蝋、製紙業が盛んで、現在でも和紙は大洲和紙として、蚕糸は良質の伊予生糸として知られている。また、平成16年9月に木造による天守閣の大洲城の完成、夏〜秋にかけて日本3大鵜飼のひとつ「水郷大洲の鵜飼い」が行われ、多くの観光客が訪れる。  当市の農業については、耕地面積は水田65,534a、畑48,247a、樹園地63,747aの合計177,528aとなっている。なお、総農家戸数は3,908戸で、販売農家戸数2,139戸、専業農家戸数681戸となっており、農業就業人口は3,529人、認定農業者266人となっている。  一方、平成18年度の農業粗産出額は669千万円(愛媛県の約5%)で耕種が344千万円(うち野菜134千万円、果樹74千万円、米70千万円)となっており、畜産は325千万円(農業生産額の48.6%)を占め、その内、肉用牛50千万円、乳牛59千万円、豚179千万円(愛媛県の14%)、鶏36千万円となっている。豚は畜産に占める割合が55%、全体では26.7%を占め、農業の基幹作目となっている。  また、平成21年2月1日現在の家畜の飼養戸数及び頭羽数は乳用牛が28戸の840頭、肉用牛は28戸で1,870頭(うち子取りめす260頭)、豚が14戸の34,400頭(うち子取用めす2,970頭)、ブロイラーが5戸の226千羽となっている。愛媛県における豚の飼育頭数は総頭数で15.3%、子取り雌豚で15.2%を占める養豚の一大団地である。

     
    
    

    2 経営・生産活動の内容

    当初は、旧JA大洲市指導のもと国庫補助事業を取り入れ、繁殖経営農家群と肥育農家群から成る地域一貫体制による大型養豚団地として整備造成された多田団地は11戸の農家が参加して肥育経営を開始した。 さらに、昭和57年〜59年には、系統助成を受け、生産コスト低減による養豚経営体質強化を目的として、各戸が繁殖肥育の一貫生産体系へと移行した。 しかし、移行に伴い新たな設備投資や昭和60年代の豚価暴落、平成3年の輸入自由化等の影響を受け多額の負債を抱えることとなった。また、この間当団地においても農家間の経営・技術格差が生じ、2戸の農家の廃業や、個別経営では老朽化した施設・設備の更新や糞尿処理施設への新規投資などに対して、いずれも資金調達が出来ない状況であった。このままでは当団地の存続はもとより、系統養豚事業においても多大な影響を与えるものと考えられ、この畜産危機を打開し多田養豚団地の再構築を図るため関係機関・団体の支援のもと(有)多田ファームを設立し、部門別飼育管理体制の導入、全農WebPICSによる技術成績の分析、TKCソフトによる経営管理、ふれ愛(あい)・媛(ひめ)ポークとしての有利販売等、経営改善に努めた結果、現在では負債の償還も着実に進み、利益が上げられるまでとなった。

    以下、設立後の経営内容は以下のとおりである。

    (1)経営管理ではTKCソフトを活用し、毎月決算を実施することで直近の経営状況を把握し、四半期毎の決算報告会及び取締役会の実施により経営の向上を図っている。 また、技術管理では県畜産会のソフト「トントンアップ」で実施していたが、トレサビリティの実施に伴い、全農WebPICSにより別紙の月別技術成績を分析し、毎週1回は企画会の開催、月に1回は目標に対する実績検討会を開催し技術改善に努めている。 さらに、執行体制は総務部・肥育環境部・繁殖部の3部門に区分し、労働力の専任化による技術の高度化・業務の効率化を図っている。

    (2)生産技術においてはSPF豚の生産技術を取り入れ、1日1頭当たりの増体重は分娩から出荷までが662g、肥育段階では729gで、飼料要求率も農場要求率で3.26、子豚・肥育豚要求率が2.82となっている。 また、母豚1頭当たりの肉豚出荷頭数が23.5頭で、枝肉出荷重量は1,724kgと愛媛県ではトップクラスの成績である。 さらに、繁殖成績では自然交配と人工授精により年間分娩回数2.4回、看護分娩・分割授乳を実施し、母豚1頭当たりの離乳頭数は24.8頭で離乳時育成率92.1%と良好である。人工授精を採用して労働力の軽減、雄豚頭数の低減による経費の削減となっている 一方、枝肉の格付けについては、雌雄別飼育や飼料給与体系の基本を守り、定期的な計量出荷を徹底し、出荷平均生体重は112.6kg、枝肉重量73.3kg(冷と体)で上物率は愛媛県の平均60%に対して71.7%と非常に高くなっている。

    (3)地域銘柄豚として全農愛媛県本部の銘柄豚「ふれ愛(あい)・媛(ひめ)ポーク」で統一されているが、多田ファームの独自の販売店による銘柄豚を確立している。日本SPF豚協会の認定を受けたSPF豚飼育により医薬品の削減、トレサビリティの確立により「全農安心システム」の認証を受け、(株)オズメッセでは「オズの箱入り娘」として、(株)スーパーフジには「肱川清流豚(ひじかわせいりゅうとん)」として、なお、(株)サニーマートでは「おおず豚」としての販売を確立し地産地消を図っている。

    (4)「全農安心システム」ではお客様へ「安心」をお届けすることはもちろん、生産者も「安心」して生産できる仕組みをつくっている。分娩から肉豚出荷までの作業・飼料給与等の記帳・記録を徹底している。このため生産履歴の証明書も発行可能な、安全・安心な豚肉の安定供給に努めている。

    (5)衛生管理として全農クリニックに加入し年間4回の定期的な抗体検査を行っている。検査結果に基づき、各分野の獣医師と現場の責任者による検討会を実施している。 また、オールイン・オールアウトの完全実施、鼠族・害虫駆除プロジェクト班の設置による定期検討会の実施により早期に対策を講じている。

    (6)糞尿処理については完全分離を行い糞はロータリー攪拌機を整備した強制発酵施設と追熟施設の2段階に分けて堆肥化している。尿は硫化液循環活性化方式で活性汚泥菌による脱窒素と脱リンし、汚水処理を行ない、最終的に中空糸膜による固液分離を実施し処理水は場内洗浄等に再利用している。 なお、堆肥化の特長は愛媛県工業試験場が瀬戸内海の水質浄化のために研究された乳酸菌、酵母、納豆菌を培養した微生物資材である「えひめAI-1」を自家培養し、追熟発酵の第1回目の切返しと第2回目の切返し時に噴霧する、このことにより、微生物がアンモニアを減少させて臭いを元から消してくれるほか、発酵を促進されるため、安定した良品質の堆肥ができあがっている。

    3 今後の目指す方向性と課題

    周辺産業・関係企業等と連携・協調を図るとともに、話題性、特異性のある管理技術等の定期的な情報交換を行っていく。

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